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山下 享介; 諸岡 聡; 古賀 紀光*; 梅澤 修*
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準安定FCC相(オーステナイト:)を含む低合金鋼に対し、低温引張変形中その場中性子回折を実施した。その際の応力-ひずみの関係、量の変化、母相との応力分配挙動および安定性に及ぼす結晶方位の影響をそれぞれ調査した。低温引張試験および中性子回折試験はJ-PARC内の「匠」にて実施した。Rietveld解析には、粉末回折データ解析ソフトウェアであるZ-RietveldおよびMAUDを用いた。低温引張試験後でもは全て変態せず一部が残存していた。293Kでは111-の積分強度比が変形に伴い増加しており、変形に対し安定であった。低温では、111-の積分強度比は塑性変形の開始直後に若干減少するが、その後ほぼ定常となった。これは、温度の低下に伴いの相安定性が低下し、111-も変態するようになるが、他の方位から111へと結晶回転することで、変態量と新たに111へと向く量が釣り合うようになることを示唆している。低温域では、111-も変態することで、293Kと比較して変形初期の高い加工硬化に寄与するとともに、変形後期(10%ひずみ以上)でも一部のが残っていることから変態誘起塑性効果により優れた強度-延性バランスを発現したと示唆される。
諸岡 聡; 川崎 卓郎; Harjo, S.; 中田 伸生*; 塚田 祐貴*
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パーライト鋼は、加工・熱処理等でラメラ間隔を変化させることで、強度-延性バランスを制御することができる。そのため、鉄道レール, 橋梁用鋼線などの構造金属材料として幅広く利用されている。一方で、中田らは、パーライト鋼の強度特性が共析変態で生じた内部応力(室温)と相関があることを発見し、加工・熱処理による新たなミクロ組織制御の可能性を示唆している。しかしながら、共析変態中に生じる内部応力は、共析変態温度で計測する必要があり、これまで実測され、定量化された例はない。本研究は中性子回折法による熱処理制御中その場測定を用いて、共析変態中に生じる内部応力の実測とその定量化を目的とする。得られた結果としては、873Kにおけるパーライト組織中のセメンタイトのユニットセル体積変化と熱時効時間の関係から、熱時効の進行に伴い、セメンタイトのユニットセル体積が増加することが分かった。すなわち、これは共析変態に起因した内部応力の影響で圧縮応力状態となったユニットセル体積が熱時効の進行に伴い、緩和している様相を現していると考えられる。また、本結果の妥当性は、予め180ks間、熱時効したセメンタイト単相のユニットセル体積変化から検証している。したがって、この現象の観測は、これまで報告されていない新たな成果の一つであり、本結果を用いることで、共析変態に起因した内部応力を実験的に推定することが可能となる。本発表では共析変態に起因した内部応力を実験的に推定した結果について報告する。
中川 洋; 齋尾 智英*; 杉山 正明*; 井上 倫太郎*; 富永 大輝*
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大強度パルス中性子J-PARCに設置された中性子準弾性散乱装置は、ピコ秒ナノ秒の蛋白質ダイナミクスの解析に有効である。この時空間スケールのダイナミクスが、生物機能発現に関わる蛋白質全体の協同的なダイナミクスとどのように関係しているかを明らかにすることは、J-PARCを用いた蛋白質のQENS実験の重要性を示すことになる。一方、立体構造に基づいて機能を議論する構造生物学に対しては、QENSスペクトルだけから構造ダイナミクスと機能を結びつけることは難しい。構造と機能とを結びつけるダイナミクスの情報を構造科学的に議論するためには、分子シミュレーションを援用することは有効である。本発表では、構造生物学の様々な手法を多角的に活用しつつ、中性子散乱実験と分子シミュレーションを融合したMD-Neutron法によって蛋白質ダイナミクスの階層構造を原子分解能で可視化することを提案する。またマルチドメイン蛋白質であるMurDについて、異なる時空間スケールの階層間でカップルした動的構造から蛋白質の機能を議論する。
社本 真一; 松浦 直人*; 赤津 光洋*; 伊藤 孝; 家田 淳一; 遠藤 仁*; 小田 達郎*; Chang, L.-J.*; 根本 祐一*; 柴田 薫
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イットリウム鉄ガーネットYIGでは、温度勾配や超音波印加によりスピンゼーベック効果として発電が観測される。超音波印加による磁性体単結晶への中性子散乱効果はこれまで調べられた例がない。そこで我々はエネルギー分解能の高いDNAやVIN-ROSEを用いて磁気散乱への効果を調べてきたので、その途中経過を報告する。
熊田 高之; 阿久津 和宏*; 河村 幸彦*; 森川 利明*; 佐原 雅恵*; 鈴木 淳市*; 鳥飼 直也*
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J-PARC MLF SHARAKU (BL17)を用いてスピンコントラスト変調中性子反射率実験に成功した。ポリスチレン単層膜において偏極中性子反射率曲線は振動やスロープも含めて水素核偏極度とともに理論予測どおりに変化した。本結果は表面およびシリコン基板との界面を含めて単層膜が均一に偏極していることを実証するものである。また、ラメラ積層構造を持つスチレン・イソプレンブロック共重合体の反射率曲線は核偏極によって複雑に変化した。無偏極および正負核偏極時の反射率曲線に対してグローバルフィッティングをかけることにより、多層膜表面にラメラ周期程度の深さのホールが多数存在することを見出した。本結果は顕微鏡観察のデータとも良い一致を示した。
及川 健一; 原田 正英; 大井 元貴; 酒井 健二; 奥 隆之; 甲斐 哲也; 篠原 武尚
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J-PARC物質生命科学実験施設(MLF)のBL10に設置された中性子源特性試験装置NOBORUは、2008年5月末のMLFの初中性子ビーム観測以降、「中性子源施設として中性子ビーム性能を把握し、質の高い中性子ビームをユーザーに提供すること」及び「ビーム制御、検出器開発などを含むテストポートとしての利用」を2本の柱として掲げ、運営を続けてきている。近年NOBORUのユーザー利用では、epi-thermal中性子の共鳴吸収を利用した実験や、即発線を利用した白色中性子ホログラフィーの開発が精力的に進められている。一方、中性子源の健全性確認やビーム特性試験等は、装置グループメンバーを中心に実施され、ターゲット交換や陽子ビーム出力向上に伴う中性子諸特性の変化の有無を定期的に観察している。本発表では、近年のNOBORUの利用状況の概要並びに、今後の装置運営・高度化指針について報告する。
元川 竜平; 金子 耕士; 永井 崇之; 岡本 芳浩
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ガラス固化体の原料となるホウケイ酸ガラスは、ガラスの融点降下を促すNaOやLiO、耐水性を向上させるAlO、分相を抑制するZnO/CaO等が添加されているが、これらの成分がガラスのナノ構造変化に対してどのような影響を与えるかを明らかにした結果は報告されていない。本研究では、ホウケイ酸ガラス中のNaO含有量の増加に伴うナノ構造変化を中性子小角散乱法を用いて明らかにした。AlO/LiO/CaO/ZnO/NaOを添加したホウケイ酸ガラス(質量比SiO/BO=60/20)について、NaO含有量を0, 2, 4, 10重量%にそれぞれ調整した4種のガラス試料を作製した。これらの試料について中性子小角散乱測定を行った結果、ホウ素を主成分とする数10nmのドメインがガラス内部に形成され、それらが周期的に分布していることがわかった。さらに、この周期サイズはNaO添加量の増加に伴い小さくなることが明らかにされた。
原田 正英; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 羽賀 勝洋; 明午 伸一郎; 大井 元貴; 高田 弘
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J-PARCの物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源は、水銀ターゲットに3GeV、1MWの陽子ビームを入射し、核破砕反応で発生する中性子を実験装置に供給している。ターゲット位置での陽子ビーム形状や位置変化は、水銀ターゲット容器の構造的健全性や実験装置に供給する中性子強度に影響を与える。本研究では、ニュートロニクスの観点から、陽子ビームの形状や位置を変化させた際の水銀ターゲット容器の核発熱及び中性子強度の変化を測定し、測定結果と粒子輸送計算との比較を行い、粒子輸送計算の妥当性を検証した。中性子強度の測定は、中性子実験装置NOBORUにて、He-3カウンタによる飛行時間法により行った。核発熱は、ターゲット容器に設置している熱電対の温度上昇速度から導出した。陽子ビームの強度及びプロファイルの条件毎に、中性子強度及び核発熱密度を測定した。粒子輸送計算コード(MCNPX, PHITS)を用い、測定値と実験値とを比較した結果、計算値は実験値と良い一致を示した。
間宮 広明*; 大場 洋次郎; 寺田 典樹*; 廣井 孝介; 篠原 武尚; 及川 健一
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磁性研究の進展により、高圧下などの極限環境における磁気構造解析のニーズが高まっている。これまで磁気構造解析には主に中性子回折法が用いられてきたが、回折法とネガ/ポジの関係にある中性子透過率スペクトル測定も利用可能であり、特に、極限環境における磁気構造解析に有効であると考えられる。そこで、典型的な反強磁性体である酸化ニッケルの中性子透過率スペクトル測定を行い、その利点を検討した。
長壁 豊隆; 宗像 孝司*; 石井 裕太*; 木村 宏之*; 山内 宏樹
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マルチフェロイック物質の圧力誘起磁気秩序相における磁気構造と電気分極の相関を精密に調べるため、中性子磁気回折と電気分極の同時測定を目指した技術開発を行っている。具体的には、単結晶中性子回折用ハイブ リッドアンビル(HA)を用いて高圧下で電気分極を測定するための技術開発を行っている。ミタニライトと呼ばれる特殊な陽極酸化皮膜をHAのアルミニウム合金ガスケット表面に付けることで、5.5GPaにおいても500Vの耐電圧のあるガスケット絶縁層の開発に成功した。今後、実際にMn系マルチフェロイック物質TbMnOの高圧下電気分極測定を計画している。
金子 耕士; Frontzek, M. D.*; 松田 雅昌*; 中尾 朗子*; 宗像 孝司*; 大原 高志; 垣花 将司*; 芳賀 芳範; 辺土 正人*; 仲間 隆男*; et al.
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空間群に属する空間反転対称性を持たない立方晶化合物EuPtSiでは、Euイオンは2価の安定状態で7Bの大きなモーメントを持ち、比較的低温の=4.0Kで反強磁性秩序を示す。磁場により中間温度領域にのみ誘起される、MnSiのスキルミオン相と類似した特徴的な磁場誘起相が現れること、その秩序相内でホール抵抗の増大が観測されていることから、高い注目を集めている。本研究では、磁気構造を明らかにすることを目的として単結晶中性子回折を行い、ゼロ磁場ではキラリティーを有する特徴的な磁気構造を持つこと、秩序相内で新たな転移の存在などを明らかにした。その詳細について報告する。
樹神 克明; 本田 孝志*; 池田 一貴*; 社本 真一; 大友 季哉*
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原子対相関関数(PDF)は大雑把に言えば、ある原子からどの距離にいくつの原子が存在するかをあらわす物理量であり、周期性を持たない原子配列を調べる上で有効である。これの磁性バージョンが磁気対相関関数(磁気PDF)であり、ある磁気モーメントからどの距離に、どちらの方向を向いた磁気モーメントがいくつ存在するかを示す関数であり、こちらはスピングラスやスピン液体のような周期性を持たない磁気配列を調べる上で有効と考えられる。この磁気PDF解析はColumbia大Billingeグループが先行して開発してきたが、我々もJ-PARCに設置されている全散乱装置NOVAを用いて磁気PDF解析の開発に取り組んできた。発表ではBillingeグループらが提案した磁気PDFの計算式の修正項の追加、標準試料である反強磁性体MnFおよび強磁性体MnSbの磁気PDF解析、スピングラス物質MnFeTiOの磁気PDF解析の結果を報告する。
酒井 健二; 大井 元貴; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 甲斐 哲也; 中谷 健; 小林 庸男*; 渡邊 聡彦*
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核破砕中性子源やミュオン標的などを安全に効率よく運転するために、物質・生命科学実験施設(MLF)は、専用の全体制御システム(GCS)を有する。GCSは、その役割に応じて、ネットワーク系(LAN), 統括制御系(ICS), サーバー, インターロック系(ILS), タイミング配信系(TDS)など幾つかのサブシステムで構成される。GCSは、MLF内の機器を独自に運転制御する一方、J-PARCの加速器や他実験施設と連動しながらMLFの安定したビーム運転を実現している。2008年度のビーム運転開始以来、GCSは運転制御コミッショニングに基づく改修を経て、システム性能を継続的に維持する視点から、ICSの大幅なアップグレードやILSの機能拡張を実施してきた(2010年度-2015年度)。近年は、制御機器の生産・サポート終了に伴い、後継機種への更新を進めている。本発表では運転開始から約10年間のGCSの運転・改造の履歴と、現時点での各サブシステムの機能・役割などについて総括する。また将来計画として、MLF全域に渡る運転データ使って、線源の僅かな状態変化から潜在的な異常を検知する異常兆候判定システムの開発についても議論する。
中村 龍也; 藤 健太郎; 筒井 紀彰; 坂佐井 馨
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中性子基盤セクションでは0.5mmピクセル高分解能イメージ検出器(iBIX用)、3mmピクセル1次元ISIS型検出器(Takumi用)、4mmピクセル大面積検出器(Senju用)のシンチレータ検出器を開発してきた。特にBL03, BL18用ではデザイン設計の自由度と製造コストに優れるシンチレータ・波長シフトファイバ検出方式を採用した検出器を開発し、これらはMLFの先導的な実験装置に実装されている。我々はこの検出方式の技術の蓄積を継続すると同時にその特徴を生かして多様な要求仕様に適合する検出器の開発を進めている。発表では100ミクロン以下を実現する高分解能イメージ検出器、次世代大型たんぱく質回折装置用の12.5mm分解能検出器、TakumiやSenju装置の高度化のためのコンパクト・大面積検出器等の開発について現状を報告する。
Harjo, S.; 及川 健一; Pham, A.*; 森戸 茂一*; 川崎 卓郎
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本研究では、日本刀の微細構造を定量的に解明するため、中性子回折法を用いた非破壊での測定を行った。本研究では4種類の日本刀(政光, 忠廣, 忠重及び國光)から切り出した試験片を用いた。中性子回折の実験マッピング測定はJ-PARCの匠にて実施し、刀を立てて222mmゲージ体積で棟から刃に亘って行なった。得られた回折パターンをMAUDのRietveld法によって構成相の結晶構造, 格子定数, 体積率等, 結晶子サイズ等を求めた。発表では本研究の詳細及び結果を報告し、中性子回折の適用可能性について議論する。
奥平 琢也; 奥 隆之; 酒井 健二; 猪野 隆*; 林田 洋寿*; 廣井 孝介; 篠原 武尚; 加倉井 和久*; 相澤 一也
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極He中性子スピンフィルターはHeガスとアルカリ金属をガラスセルに封入した中性子偏極デバイスである。He原子核の中性子吸収断面積は大きなスピン依存性をもち、偏極したHeガスに中性子を透過させることにより、広いエネルギー範囲の中性子ビームを偏極させることが可能である。ガラスセルに円偏光レーザーを照射することによりスピン交換法(Spin Exchange Optical Pumping : SEOP)を用いてHe原子核を偏極させる。現在原子力機構(JAEA)ではJ-PARC MLFで使用するためのHe中性子スピンフィルターの開発を進めている。最近では、Frequency Sweep AFP-NMRを用いた高速、かつ、ロスの少ないHeスピン反転技術や電子スピン共鳴法を用いた中性子ビームを使わないHe偏極率の評価システムなどを導入した。また、He中性子スピンフィルターを製作するためのHeガス封入システムの開発も行い、より高性能なスピンフィルターの開発に取り組み始めている。本発表ではJAEAにおける現在の開発の状況について報告する。
柴田 薫
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飛行時間焦点法逆転配置型結晶アナライザー分光器とは、板状試料, アナライザー結晶, 中性子検出器の間で、中性子の散乱後の飛行時間が一定に収束されている分光器のことである。この型の分光器の原形は東北大学原子核理学研究施設で考案されたもので、その後、この原形をもとにした分光器CATが高エネルギー物理学研究所に設置された。更に英国RAL研究所ISISパルス中性子施設において、分光器TFXAとして設置され、更に性能向上して分光器TOSCAとして現在、水素の非干渉性散乱を用いた分子分光装置として広い応用分野で利用されている。合衆国ORNL研究所SNSパルス中性子施設においても分光器VISIONとして設置されmicro gramの微量試料を用いてエネルギー分解能E/E 1.5%で水素の非干渉性散乱による分子振動スペクトルの測定を実現している。本発表では、飛行時間焦点法逆転配置型結晶アナライザー分光器の分光原理の発展を検討し、J-PARC MLFに設置する場合の最適な仕様について検討した結果について報告する。
徐 平光; 石島 暖大; Qiu, H.*; 諸岡 聡; Harjo, S.
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最近の陽電子消滅法や水素マイクロプリント法など分析技術の進歩により、金属組織に対応した水素分布の可視化や存在位置まで検出できるようになった。一方で、水素脆化という力学特性の劣化進行過程に対して、原子レベルでの組織評価とマクロな機械試験を組み合わせた中性子回折技術が有効である。通常の回折法では、ppmレベルの拡散水素を含有した鉄鋼材料の結晶構造の変化を評価することは困難である。しかし、その鉄鋼材料の力学特性が拡散水素の影響を受けることに着目して、中性子回折法によるその場測定を用いて、水素チャージした高張力鋼板の水素脆化挙動と結晶回転を同時に評価した。水素チャージの有無に関係なく、引張変形の進行に伴い110結晶配向が強くなり、一方で200,211は弱くなった。これは単軸引張変形による結晶回転に由来する。110結晶配向は、ネッキング変形中にさらに強くなるが、その後、水素チャージなしの試料では、110結晶配向の緩和によって高い絞り率で破断に至ったのに対し、水素チャージした試料では、充分緩和せずに低い絞り率で破断に至った。
佐野 亜沙美; 服部 高典; 小松 一生*; 鍵 裕之*; 永井 隆哉*
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水素は地球深部において鉱物中にOH基などとして固定され、相当量存在すると考えられている。通常、地表において鉱物中の水素は二つの酸素の間で片側の酸素と共有結合で、もう一方の酸素と水素結合で結ばれている。しかし1970年代に、高圧氷についての理論計算により、高圧力を加え酸素間距離が縮まることで、水素が二つの酸素間の中点に位置し両側の酸素と共有結合する対称化がおきると予測された。その後含水鉱物においても同様に対称化がおきること、またそれに関係すると考えられる様々な物性の変化が報告されたが、水素位置に関する直接的な証拠は得られていなかった。本研究では含水鉱物-AlOOH相の高圧下中性子回折実験を行い、18GPaにおいて水素が二つの酸素間の中点に位置し対称化することを初めて直接観測した。またそれより低圧側では中点を挟んだ2点でディスオーダーする領域があることも明らかにした。この結果はこれまでこの含水鉱物で見つかっていた弾性波速度の急激な増加が、対称化と、その前駆現象であるディスオーダーにより引き起こされていることを示している。
關 義親; 篠原 武尚; Parker, J. D.*; 松本 吉弘*; 日野 正裕*; 佐本 哲雄*; 矢代 航*; 百生 敦*
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3枚の格子からなるTalbot-Lau干渉計を用いたイメージングでは、サンプルによって引き起こされる中性子波の吸収・屈折・小角散乱の効果を、干渉縞の平均強度・位相・ビジビリティーの変化からそれぞれ可視化することができる。われわれはJ-PARC物質・生命科学実験施設BL22に設置されているエネルギー分析型イメージング装置RADENにおいて、パルスビームおよび偏極ビームを活用した中性子位相イメージング技術の開発を進めている。大強度パルスビームで波長分解測定を行うと、位相変化の波長分散を抑えた高統計・高コントラストの微分位相イメージを得ることができる。また、偏極ビームを適用すると磁気ポテンシャル有感型の位相イメージングを行うことができる。さらに、中性子位相イメージング技術の国内中性子源での普及・展開に向けて、可搬型測定システムを構築し、京大複合原子力科学研究所CN-3ビームラインにおいて実証実験を開始した。本講演では、開発状況をこれまでに行った電磁鋼板、合金サンプル等の測定結果とともに報告し、今後の計画を述べる。